エアコン取り付け工事の「真空引き」とは?
エアコンの設置工事において、重要なステップの一つが「真空引き」です。この作業は、エアコンの冷媒回路内に残存する空気や湿気を除去し、真空状態を作り出すことを指します。空気や湿気が残ると、冷媒と反応して酸や他の有害な物質を生じ、エアコンの故障や効率低下の原因となります。真空引きは、特殊なポンプを使用して行われ、エアコンのパイプ内を真空状態にすることで、冷媒の流れをスムーズにし、エアコンの性能を最大限に発揮させるための重要な工程です。
真空引きの重要性
エアコンの性能を最大限に引き出すためには、真空引きが不可欠です。エアコン内部の冷媒は、圧縮機、膨張弁、および熱交換器を通じて循環し、部屋の空気を冷やしたり暖めたりします。この冷媒回路内に空気や水分が残っていると、圧縮機の負荷が増加し、エネルギー効率が低下するばかりか、内部部品の腐食や故障の原因となることもあります。特に、水分は冷媒と反応して酸を生成し、これが配管や機器の内部を侵食します。また、空気が混入すると、システム内の圧力が不安定になり、冷暖房の効率が落ちることもあるのです。したがって、エアコンを長持ちさせ、高い冷暖房効率を維持するためにも、専門家による適切な真空引きの実施が不可欠なのです。
真空引きの工
真空ポンプ冷媒回路内の空気を吸い出し、真空状態を作り出すための装置。
ゲージマニホールド冷媒の圧力を測定し、真空引きの状態を確認するための器具。
チャージングホースゲージマニホールドとエアコンのサービスポートを繋ぐためのホース
サービスポートアダプターエアコンのサービスポートに合わせたアダプター
真空引きの手順
- 準備作業
・真空ポンプとゲージマニホールドを設置し、チャージングホースで接続します。
・サービスポートアダプターをエアコンのサービスポートに取り付けます。 - ゲージマニホールドの設定
・ローサイド(低圧側)のバルブをゲージマニホールドに接続します。
・ゲージの読み取りがゼロであることを確認します。 - 真空引きの開始
・真空ポンプを起動し、エアコン内の空気が抜けるまで数分待ちます。
・ゲージマニホールドで圧力を確認し、必要な真空レベルまで達していることを確認します(通常は-500mmHg以下)。 - 真空状態の維持
・真空状態を約30分間維持します。この過程で、ゲージの読みが変動しないことを確認します。
・もし圧力が上がる場合は、漏れがある可能性があるため確認が必要です。 - 真空ポンプの停止と回路の封印
・真空ポンプを停止し、ゲージマニホールドのバルブを閉じます。
・サービスポートからアダプターを取り外し、キャップでしっかりと封印します。
「真空引き」を行わないと生じる問題点
エアコンの真空引きを省略すると、エアコンの性能や耐久性に悪影響を及ぼすことがあります。具体的なデメリットには次のようなものがあります。
- エアコンの寿命が短縮し、故障のリスクが高まる
・エアコンは冷媒ガスを利用して空気を冷やします。真空引きを怠ると、残留する空気中の水分や不純物が冷媒回路を破損させ、エアコンの寿命を縮める原因になります。
・真空引きなしで使用すると、内部で霜が発生したり、配管内の水分が凍結するリスクがあり、これが故障や漏電につながる可能性があります。 - 電気代が増加する
・配管内に残った空気が凍結すると、冷媒の流れが悪くなり、エアコンの冷却効率が低下します。その結果、同じ冷却効果を得るために必要な電力が増加し、電気代が高くなります。
・冷媒回路が損傷し冷媒が漏れると、冷却能力が低下し、さらに電力消費が増えることになります。
真空引きは、エアコンの最適な性能を維持し、長期的にコスト削減にもつながる重要な作業です。適切な真空引きによって、エアコンを長持ちさせ、快適な使用を保証することができます。